疾患について
A01:心臓は、右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋にわかれています。
心房とは、このうち上にある2箇所です。
正常時は、「右心房」にある「洞結節」という場所から電気信号が規則正しく発信され、心臓の筋肉がそれに反応し、拍動します。
心房細動の原因と仕組み くわしく見る
A02:心房細動は「不整脈(脈が不規則になる状態)」の一種です。
不整脈のうち、心房で異常な電気信号が発生して心臓が規則正しく収縮できなくなる病気を心房細動と呼びます。
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A03:心房細動の人の40%は自覚症状がないという報告があります[1]。
しかし症状がない人でも、症状がある人と同じように脳梗塞を起こすリスクを持っていますので、心房細動と診断された場合は必ず受診してください。
[1] Senoo K, Suzuki S, Sagara K, et al. Distribution of first-detected atrial fibrillation patients without structural heart diseases in symptom classifications. Circ J 2012; 76: 1020-1023
心房細動の症状 くわしく見る
A04:心房細動で心臓の治療が必要なのは、不整脈によって体に血液が十分に行き渡らず、息切れやめまい、疲労感などが激しく日常生活に支障が出ているような場合です。
心房細動を軽減するための治療 くわしく見る
A05:心房細動では、心房内の血液がよどみ、血液の固まり(血栓)ができやすくなっています。この血栓が血流に乗って脳の血管を詰まらせると「脳梗塞」になります。ですから心房細動では、血栓ができないように血液を固まりにくくする治療を行って脳梗塞を予防する必要があります。
心房細動と血栓の関係 くわしく見る
A06:脳の血管の病気全般を「脳卒中」と呼び、「脳梗塞」は「脳卒中」の一種です。脳の血管が詰まった場合を「脳梗塞」、脳の血管が破れて出血した場合を「脳出血」や「くも膜下出血」といいます。
心房細動が原因の脳梗塞の特徴 くわしく見る
リスクについて
A07:不整脈の症状がなくても、心房内の血液がよどみ、血栓ができやすくなっている状況は変わりません。ですから、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」による治療を行う必要があります。
心房細動が原因の脳梗塞の特徴 くわしく見る
A08:心房細動では心房内の血液がよどみ血栓ができやすくなっているため、原則的には診断された人全員が血液を固まりにくくする「抗凝固薬」による治療を行う必要があります。
ただし、血栓のできやすさを評価するスコア(CHADS2スコア)によって血栓ができる危険性は低いと判定された人では、定期的に受診して様子を見るだけのこともあります。
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A09:心房細動では、心臓という大きな臓器の中で血栓ができるため、大きな血栓ができやすく、結果、太い血管を詰まらせることになります。そのため心房細動による脳梗塞の場合、梗塞範囲が広く、突然重大な症状が起こり、命にかかわることもあります。命が助かったとしても、言語障害や運動麻痺などの重い後遺症が残ることも少なくありません。
心房細動が原因の脳梗塞の特徴 くわしく見る
A10:心臓の病気がある人、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の持病がある人、慢性腎臓病の人、甲状腺機能亢進症の人、飲酒・喫煙をしている人などで脳梗塞のリスクが高まると言われています。
心房細動になりやすい人の特徴 くわしく見る
A11:抗凝固薬は、血液を固まりにくくするため、出血するリスクは伴います。
ただし脳梗塞を起こしてしまうと、言語障害や運動麻痺などの重い後遺症が残ることもあります。
医師の診断を受けて抗凝固薬を処方された場合は、きちんと医師の指示通りに飲んで脳梗塞を予防してください。
そのうえで出血の症状が現れた場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。
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治療について
A12:治療に使用するお薬の中には、納豆や山菜などビタミンKを多く含む食事を避けなければならないものもあります。ビタミンKがそれらの薬の作用を弱めてしまうからです。
現在抗凝固薬の中には、ビタミンK による影響が少ないお薬もあります。食事制限について気になる方は医師に相談してください。
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A13:服用にあたり、毎回の血液検査を必要とする治療薬もありますが、最近では、毎回の検査を必ずしも行わなくてよい治療薬も登場しています。
不便を感じた場合は、ご自分が続けやすい治療薬を医師に相談してはいかがでしょうか。
ちなみに血液検査は、血液の固まりにくさを調べて、効果(固まりにくさ)と安全性(出血しやすさ)のバランスを調べるために行います。
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A14:いいえ、治療の変更は、必ず医師の指示に従ってください。
自覚症状がなくても、血栓ができやすい状態は変わらないので、自己判断で治療をやめないでください。
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A15:必ずしも全員が治るわけではありませんが、アブレーションを受けた人の80~90%は2回目までに心房細動がおさまると言われています。[1-4]
[1] Oral H, Knight BP, Ozaydin M, et al. Segmental ostial ablation to isolate the pulmonary veins during atrial fibrillation: feasibility and mechanistic insights. Circulation 2002; 106: 1256-1262.
[2] Oral H, Knight BP, Tada H, et al. Pulmonary vein isolation for paroxysmal and persistent atrial fibrillation. Circulation 2002;105: 1077-1081.
[3] Wazni OM, Marrouche NF, Martin DO, et al. Radiofrequency ablation vs antiarrhythmic drugs as first-line treatment of symptomatic atrial fibrillation: a randomized trial. JAMA 2005; 293: 2634-2640.
[4] Cappato R, Calkins H, Chen SA, et al. Worldwide survey on the methods, efficacy, and safety of catheter ablation for human atrial fibrillation. Circulation 2005; 111: 1100-1105.
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